最後に恋した一か月




「は?」


 デート?




 あたしは浅田の口から出てきたことばを疑った。


「本気?」

「まじで」


 ……どういうつもりなの?


「オレとデートしてくれたら、教える。好きなひとも、それが誰かも」


 おっと。

 そうくるのか。


「はっはーん。残念だね、浅田くん」

「え!?」

「いま、自分で答え言っちゃってるじゃん! 好きなひとも、それが誰かもってことは、好きなひと、いるってことじゃん!!」


 どーだ!!


「しまったー!」

「ほーら、うっかりさんな後輩とやらは困ったものだなぁ」

「もー、先輩が目ざといだけですって!!」

「いーや、浅田がだめだめってことでしょ!」

「もー!」

「あ、教室。じゃ、あたし、こっちだから」

「はーい、じゃ、オレも、二年はこっちだから、行きますね」

「授業中、寝るなよ」

「寝ませんってば! それより、先輩!」

「ん?」

「先輩の残りの一ヶ月は、オレのですからね!!」


 またそれか。


「はいはい。最後までお前をかまってやればいいんでしょ」

「それから! 本気で考えておいてくださいね」


 何を?


「デートのこと!!」


 ……そこにこだわる??



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