元勇者は彼女を寵愛する
プロローグ
ザワザワと人の気配が騒がしい。
だけど私の視界は真っ暗だ。石のように冷たい床、狭い檻のような所に閉じ込められて、一人為す術もなく座り込んでいる。
「さてさて、次の商品は……え? こ、これは凄いですよ!! 本日、飛び入りの目玉商品はなんと、魔王を倒し忽然と姿を消したあの伝説の勇者の恋人でぇっっす!!!」
やたらとテンションが高い男の声と共に、私の目の前を覆っていた布が勢い良く取り払われた。
明かりに照らされ、眩しさに目を覆った。騒ぎ立てる人達の声が一層うるさくなる。
まだ視界はハッキリしない。だからその様子を見ることは出来ないけど、どうせ好奇な目で私を見てるんでしょうね。
どうやら私は、今から人をお金で買おうとする下劣な奴らの商品として競りにかけられるらしい。
ああもう!せっかく今日はあの島から出られる貴重な日だったっていうのに、なんでこんな事になってんのよ!!
……でも大丈夫よ。
絶対に彼が――
私のヴァイスが、助けに来てくれると信じているから。
だけど私の視界は真っ暗だ。石のように冷たい床、狭い檻のような所に閉じ込められて、一人為す術もなく座り込んでいる。
「さてさて、次の商品は……え? こ、これは凄いですよ!! 本日、飛び入りの目玉商品はなんと、魔王を倒し忽然と姿を消したあの伝説の勇者の恋人でぇっっす!!!」
やたらとテンションが高い男の声と共に、私の目の前を覆っていた布が勢い良く取り払われた。
明かりに照らされ、眩しさに目を覆った。騒ぎ立てる人達の声が一層うるさくなる。
まだ視界はハッキリしない。だからその様子を見ることは出来ないけど、どうせ好奇な目で私を見てるんでしょうね。
どうやら私は、今から人をお金で買おうとする下劣な奴らの商品として競りにかけられるらしい。
ああもう!せっかく今日はあの島から出られる貴重な日だったっていうのに、なんでこんな事になってんのよ!!
……でも大丈夫よ。
絶対に彼が――
私のヴァイスが、助けに来てくれると信じているから。
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