元勇者は彼女を寵愛する
元勇者と彼女は離島に幽閉されている
この世界には『勇者』と『魔王』が存在する。
魔族を従え、強力な闇の力で人々の命を奪い、この世界を恐怖で震撼させる魔王。
聖なる力を宿す聖剣を携え、この世界の人々を守るために戦う勇者。
古来より、この世界では魔王と勇者の戦いが幾度となく繰り返されてきた。
そして現在。
――ヴァイス・シュバルツ。
歴代最強の勇者と謳われた彼は、たった一人で魔族らと戦い、魔王をも討ち取った。
世界を救い、多くの人々から崇められ讃えられたイケメン。……じゃなくて勇者。
彼は今、本土から遠く離れた、地図にも載らない様な離島に幽閉されて暮らしている。
彼を陰ながら支えた、一人の女性と共に――
「朝だよ、リーチェ。そろそろ起きようか」
耳元で囁く様な声に、私はゆっくりと目を開けた。
なんか今、夢の中で語っていた気がするのだけど。
まあいいわ。そんなことよりも……
ベッドに横たわる私の目の前には、日に照らされ爽やかな笑顔で私を見つめる
「イケメンがいるわ!!」
つい思った事が口から漏れてしまうのは私の悪い癖。
それは目の前のイケメン……ヴァイスもよく知っているはず。それなのに、ヴァイスはなんだか納得がいかないような顔をしている。
「それは、僕の事で合ってるのかな?それとも」
ヴァイスは少しだけ意地の悪い笑みを浮かべ、私のすぐ目の前までその美しい顔面を近寄せてきた。
アメジストの様に透き通る紫色の瞳が私を見……近い近いぃ!!
イケメン急接近の威力が半端ない!!あああ、でも美しい。目が幸せ。なんか良い香りもするし。くんくん。
「夢の中で僕以外のイケメンと会っていたのかな?」
……は!!?
「そ、そんな訳ないでしょ!?イケメンと言えばヴァイスの事に決まってるじゃない!っていうか、例え夢でもイケメンがそう簡単に現れるはずがないでしょう!?そんな事になったら夢から覚められなくなる女性が続出するわよ!!イケメンっていうのは奇跡みたいなものなのよ!!何千万分の一の確率で生まれるかどうかも分からない様な奇跡なの!!奇跡はそう簡単に起きてはくれないのよ!!」
自分でもよくわからない言葉を並べて反論したけど、ヴァイスは満足そうにニコっと優しく笑った。
魔族を従え、強力な闇の力で人々の命を奪い、この世界を恐怖で震撼させる魔王。
聖なる力を宿す聖剣を携え、この世界の人々を守るために戦う勇者。
古来より、この世界では魔王と勇者の戦いが幾度となく繰り返されてきた。
そして現在。
――ヴァイス・シュバルツ。
歴代最強の勇者と謳われた彼は、たった一人で魔族らと戦い、魔王をも討ち取った。
世界を救い、多くの人々から崇められ讃えられたイケメン。……じゃなくて勇者。
彼は今、本土から遠く離れた、地図にも載らない様な離島に幽閉されて暮らしている。
彼を陰ながら支えた、一人の女性と共に――
「朝だよ、リーチェ。そろそろ起きようか」
耳元で囁く様な声に、私はゆっくりと目を開けた。
なんか今、夢の中で語っていた気がするのだけど。
まあいいわ。そんなことよりも……
ベッドに横たわる私の目の前には、日に照らされ爽やかな笑顔で私を見つめる
「イケメンがいるわ!!」
つい思った事が口から漏れてしまうのは私の悪い癖。
それは目の前のイケメン……ヴァイスもよく知っているはず。それなのに、ヴァイスはなんだか納得がいかないような顔をしている。
「それは、僕の事で合ってるのかな?それとも」
ヴァイスは少しだけ意地の悪い笑みを浮かべ、私のすぐ目の前までその美しい顔面を近寄せてきた。
アメジストの様に透き通る紫色の瞳が私を見……近い近いぃ!!
イケメン急接近の威力が半端ない!!あああ、でも美しい。目が幸せ。なんか良い香りもするし。くんくん。
「夢の中で僕以外のイケメンと会っていたのかな?」
……は!!?
「そ、そんな訳ないでしょ!?イケメンと言えばヴァイスの事に決まってるじゃない!っていうか、例え夢でもイケメンがそう簡単に現れるはずがないでしょう!?そんな事になったら夢から覚められなくなる女性が続出するわよ!!イケメンっていうのは奇跡みたいなものなのよ!!何千万分の一の確率で生まれるかどうかも分からない様な奇跡なの!!奇跡はそう簡単に起きてはくれないのよ!!」
自分でもよくわからない言葉を並べて反論したけど、ヴァイスは満足そうにニコっと優しく笑った。