元勇者は彼女を寵愛する
「そう。それなら良かった。おはようリーチェ」
そう言うと、私の唇を撫でる様にキス落とした。
一瞬で私の顔は火が付いたかの様に熱くなる。
私は真っ赤になっているであろう自分の顔を両手で覆い、体中の酸素が抜けきる程の深いため息をついた。
「ありがとうございます」
何が「ありがとうございます」なのかは自分でもよく分からない。
だけど、寝起きでこんなイケメンにキスされるなんて、前世の私は一体どんだけ徳を積んだのよ。ありがとう。よくやった前世の私。
その時、フワッとパンが焼ける香ばしい香りが漂ってきた。
ああ、ヴァイスが朝食を作ってくれたのね。今日は何を作ってくれたのかしら?お出かけする予定があるから――
状況を察した私は跳ねる様に起き上がった。
「ごめんなさいヴァイス!また寝坊しちゃったわ!すぐに支度する……わっ!?」
勢い余ってベッドから落ちそうになった私を、ヴァイスが片手で受け止めてくれた。
「リーチェ、落ち着いて。時間はたっぷりあるから大丈夫だよ」
ヴァイスは動じることなく、私を宥める様に穏やかな笑みを向けている。
顔だけじゃなくて心もイケメン。はあ、好き。大好き。
「さあ、冷める前に朝食にしよう。今日は君の好きなパンを焼いたよ」
ヴァイスは私の体を軽々と抱きかかえて立ち上がった。
自分で歩けるけど、このまま素直に甘えさせてもらうおう。
下から見上げるヴァイスの顔も、なんて美しいの。どの角度から見てもイケメンなのかしら?
ああ、神様。寝起きにこんなイケメンにお姫様抱っこされる、この尊い喜びをお与えくださりありがとうございます。
こんな離島に幽閉されていても、私達はとっても幸せに暮らしています。
「リーチェ、誰に何を祈っているんだい?」
その言葉で我に返ると、自分が手を合わせて目を閉じ、お祈りポーズをしている事に気付いた。
「この世界の平和が末永く続くようにと、神様に祈っているの」
「そうなんだ。リーチェはやっぱり優しいね」
流れる様に紡がれた私の嘘を、少しも疑うことなく信じてくれるヴァイスこそ、本当に心が清くて優しい人だ。
そう言うと、私の唇を撫でる様にキス落とした。
一瞬で私の顔は火が付いたかの様に熱くなる。
私は真っ赤になっているであろう自分の顔を両手で覆い、体中の酸素が抜けきる程の深いため息をついた。
「ありがとうございます」
何が「ありがとうございます」なのかは自分でもよく分からない。
だけど、寝起きでこんなイケメンにキスされるなんて、前世の私は一体どんだけ徳を積んだのよ。ありがとう。よくやった前世の私。
その時、フワッとパンが焼ける香ばしい香りが漂ってきた。
ああ、ヴァイスが朝食を作ってくれたのね。今日は何を作ってくれたのかしら?お出かけする予定があるから――
状況を察した私は跳ねる様に起き上がった。
「ごめんなさいヴァイス!また寝坊しちゃったわ!すぐに支度する……わっ!?」
勢い余ってベッドから落ちそうになった私を、ヴァイスが片手で受け止めてくれた。
「リーチェ、落ち着いて。時間はたっぷりあるから大丈夫だよ」
ヴァイスは動じることなく、私を宥める様に穏やかな笑みを向けている。
顔だけじゃなくて心もイケメン。はあ、好き。大好き。
「さあ、冷める前に朝食にしよう。今日は君の好きなパンを焼いたよ」
ヴァイスは私の体を軽々と抱きかかえて立ち上がった。
自分で歩けるけど、このまま素直に甘えさせてもらうおう。
下から見上げるヴァイスの顔も、なんて美しいの。どの角度から見てもイケメンなのかしら?
ああ、神様。寝起きにこんなイケメンにお姫様抱っこされる、この尊い喜びをお与えくださりありがとうございます。
こんな離島に幽閉されていても、私達はとっても幸せに暮らしています。
「リーチェ、誰に何を祈っているんだい?」
その言葉で我に返ると、自分が手を合わせて目を閉じ、お祈りポーズをしている事に気付いた。
「この世界の平和が末永く続くようにと、神様に祈っているの」
「そうなんだ。リーチェはやっぱり優しいね」
流れる様に紡がれた私の嘘を、少しも疑うことなく信じてくれるヴァイスこそ、本当に心が清くて優しい人だ。