元勇者は彼女を寵愛する
「ねえ、いい事教えてあげるわ!」
「うん」
「勇者になる素質はね……ずばり、イケメンなのよ!」
「……え?」
「この歴代勇者の石像達を見て!!みんなイケメンでしょう!?」
「う、うーん」
何度説明をされても、結局イケメンの事はよく分からなかった。
「つまり、イケメンのあなたは勇者になる素質を持っているの!」
「僕が……勇者の?」
「ええ、間違いないわ!あなたが十八歳になったら、聖剣を手にする事が出来るかどうか試してみるといいわ!」
「聖剣を――」
王都に隣接した森の奥深く。神域と呼ばれる場所にある神殿。そこに聖剣は眠っている。
成人を迎える十八を過ぎ、台座に刺さる聖剣を引き抜くことが出来た人物が新たな勇者となる。
そう聞いたことがあった。
「あ、私そろそろ行かないと!明日の朝にはこの街を出ないといけないのよ。残念だけど、黒髪イケメン君と会うのもこれで最後ね。私の事、忘れないでね!またね!!」
「あ、待って!!君の名前は!?」
「私はリーチェ!きっと勇者になって魔王を倒してね!黒髪のイケメンくん!!」
弾けるような笑顔で大きく手を振り、リーチェは走り去っていった。
その姿をドキドキと胸の高鳴りを感じながらいつまでも見届けていた。
彼女の姿が見えなくなると、再び僕の心は孤独に塗りつぶされそうになった。
だけど彼女の残した灯は、いつまでも僕の心を照らしていた。
「バカな女。魔王のソシツを持つ者が聖剣ヌケルはずナイ」
「僕、勇者になりたい」
「はァ?」
「うん」
「勇者になる素質はね……ずばり、イケメンなのよ!」
「……え?」
「この歴代勇者の石像達を見て!!みんなイケメンでしょう!?」
「う、うーん」
何度説明をされても、結局イケメンの事はよく分からなかった。
「つまり、イケメンのあなたは勇者になる素質を持っているの!」
「僕が……勇者の?」
「ええ、間違いないわ!あなたが十八歳になったら、聖剣を手にする事が出来るかどうか試してみるといいわ!」
「聖剣を――」
王都に隣接した森の奥深く。神域と呼ばれる場所にある神殿。そこに聖剣は眠っている。
成人を迎える十八を過ぎ、台座に刺さる聖剣を引き抜くことが出来た人物が新たな勇者となる。
そう聞いたことがあった。
「あ、私そろそろ行かないと!明日の朝にはこの街を出ないといけないのよ。残念だけど、黒髪イケメン君と会うのもこれで最後ね。私の事、忘れないでね!またね!!」
「あ、待って!!君の名前は!?」
「私はリーチェ!きっと勇者になって魔王を倒してね!黒髪のイケメンくん!!」
弾けるような笑顔で大きく手を振り、リーチェは走り去っていった。
その姿をドキドキと胸の高鳴りを感じながらいつまでも見届けていた。
彼女の姿が見えなくなると、再び僕の心は孤独に塗りつぶされそうになった。
だけど彼女の残した灯は、いつまでも僕の心を照らしていた。
「バカな女。魔王のソシツを持つ者が聖剣ヌケルはずナイ」
「僕、勇者になりたい」
「はァ?」