元勇者は彼女を寵愛する
僕だけのリーチェ。
彼女の傍にいられればそれで良かったのに。
彼女と一緒に過ごすうちに、僕はどんどん欲が出だした。
彼女の喜びも、悲しみも、怒りも、すべて僕が生み出すものでありたい。
僕が弱っている姿を見せれば、彼女は僕に寄り添い、抱きしめて慰めてくれた。
それが嬉しくて僕は時々、彼女に弱い部分を見せた。
「二人だけで誰も居ない所へ逃げちゃおっか」
リーチェのその言葉を聞いた時、僕は心の中で激しく同意した。
その時の僕は、彼女となるべく長く一緒にいるために、のんびりと魔族を狩りながら勇者としての地位を保っていた。
だけど、もしも二人だけの世界で暮らせたのなら――
ああ、なんて幸せなことだろう。
彼女を誰の目にも触れさせる事無く、僕だけのリーチェに出来るのなら……
そうだ。
それなら、二人だけの世界を作ればいい。
それから、僕は一気に魔王を追いつめ討ち取った。
そして皇帝が一人でいる時に彼の部屋へと侵入し、闇の力を見せつけながら話をした。
皇帝の命令で、僕を誰も寄り付かない離島へ追いやるように命じろ、と。
僕の本当の姿を知った皇帝は、恐怖で顔を歪ませながら、その首を縦に振るだけだった。
優しいリーチェの事だから、そんな話を聞いたら必ず僕と一緒に暮らすと言ってくれるだろう。
その思惑どおり、彼女は僕の為に怒りながら悲しみ、離れたくないと言ってくれた。
予想外の嬉しい告白までしてくれて。
そして彼女と僕、二人だけの世界を作り上げる事に成功した。
全ては僕が望むままに――
彼女の傍にいられればそれで良かったのに。
彼女と一緒に過ごすうちに、僕はどんどん欲が出だした。
彼女の喜びも、悲しみも、怒りも、すべて僕が生み出すものでありたい。
僕が弱っている姿を見せれば、彼女は僕に寄り添い、抱きしめて慰めてくれた。
それが嬉しくて僕は時々、彼女に弱い部分を見せた。
「二人だけで誰も居ない所へ逃げちゃおっか」
リーチェのその言葉を聞いた時、僕は心の中で激しく同意した。
その時の僕は、彼女となるべく長く一緒にいるために、のんびりと魔族を狩りながら勇者としての地位を保っていた。
だけど、もしも二人だけの世界で暮らせたのなら――
ああ、なんて幸せなことだろう。
彼女を誰の目にも触れさせる事無く、僕だけのリーチェに出来るのなら……
そうだ。
それなら、二人だけの世界を作ればいい。
それから、僕は一気に魔王を追いつめ討ち取った。
そして皇帝が一人でいる時に彼の部屋へと侵入し、闇の力を見せつけながら話をした。
皇帝の命令で、僕を誰も寄り付かない離島へ追いやるように命じろ、と。
僕の本当の姿を知った皇帝は、恐怖で顔を歪ませながら、その首を縦に振るだけだった。
優しいリーチェの事だから、そんな話を聞いたら必ず僕と一緒に暮らすと言ってくれるだろう。
その思惑どおり、彼女は僕の為に怒りながら悲しみ、離れたくないと言ってくれた。
予想外の嬉しい告白までしてくれて。
そして彼女と僕、二人だけの世界を作り上げる事に成功した。
全ては僕が望むままに――