リセット〜君を救うために、何度でも〜
「日和にもう会えないなんて、嫌だよ……。一緒に夏休みに映画観に行こうって言ってたのに!」

泣きじゃくる声、怒気を含んだ声、哀れむ声が俺の耳に入り込んでくる。写真の中にいる日和はこんなにも笑っているのに、もう二度と目の前でその笑顔を見ることができない。

「日和……」

名前を呟く。もう彼女は「類くん」と高い声で呼び返してはくれない。涙が一筋、頬を伝っていく。

お葬式が終わって少しの間、教室にある日和の机には花が置かれ、みんなそれを見て日和のことを話していた。

「お前、大丈夫なのかよ」

ぼんやりと日和がもういない席を見ていたら、友達に話しかけられる。

「あいつのこと、好きだったんだろ?」

「ああ……」

友達から顔を背ける。声が震えないように、涙がこぼれ落ちないように、ただ堪えた。恋をしている時よりも、ずっとずっと胸が苦しい。大切な人に会えなくなる、それがこんなにも悲しくて苦しいなんて、知らなかったし知りたくなかった。
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