リセット〜君を救うために、何度でも〜
走って駅を飛び出すと、日和が音楽を聴きながら歩いて来るところだった。日和は息を切らした俺がいるのを見て、目を見開く。そして、走ってきた。

「類くん、どうしてこんなところにいるの?体調は大丈夫なの?」

俺は、触れられた温かくて柔らかい手を素早く掴む。そしてそのまま走り出した。

「えっ、類くん!?」

「この時間の電車に乗るな!」

温かい手は、日和が生きているという証だ。それをもう失いたくない。離れないよう、きつく握り締める。

「類くん、ちょっと痛いよ。それにどこに行くの?」

日和にそう言われたが、離すことはできない。離したら日和がまた死んでしまいそうで、ただ怖い。ハッハッ、と呼吸がどんどん短くなっていく。

「危ない!!」

そう叫んだのは、俺でも日和でもない知らない誰かだ。グチャッと何かが潰れたような音がして、日和の声が消える。

恐る恐る俺が振り返れば、そこにいたはずの日和はいなくなっていた。否、落ちてきた巨大な看板に潰されて死んでいた。赤い血が道に広がっていく。
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