リセット〜君を救うために、何度でも〜

「おやおや、また失敗か？」

駅にいたはずの男がどこからか現れ、絶望する俺を覗き込む。俺は男を突き飛ばし、再び腕時計に触れた。

「リセット！」

また時間が巻き戻る。今度こそ日和を救うため、俺は走って日和を探す。電車で帰るのがダメなら、バスで帰ればいい。幸い、この時間に発車するバスがある。

「日和！」

駅の改札口を通ろうとする日和の手を掴む。俺の手は震えていた。このまま何もしなければ、目の前にいる日和が死んでしまう。だけど、その未来を知らない日和はただ驚いている。

「類くん？どうしてこんなところにいるの？」

「今日はバスで帰るぞ！」

日和の手を引っ張ってバス停へと走る。さっきは空から看板が落ちて日和は死んだ。だから、上から何か落ちてこないか気を付けながら、俺と日和はバスに乗り込む。

「……よかった……」

無事にバスに乗れたことにホッとし、体の力が抜けていくのがわかった。そんな俺の肩を日和は揺さぶる。