リセット〜君を救うために、何度でも〜
「類くんが犠牲にした寿命はもう元に戻ってる。だから、最期まで生きて。次に会う時は、シワだらけのおじいちゃんになってからだよ?」

日和が泣きながら笑って言う。こんな時にそんなこと言うもんだから、釣られて笑ってしまった。

「片方は十六歳の女子高生で、片方はシワだらけのじいさんって犯罪だろ」

「あの世に警察なんているわけないでしょ」

日和はそう言った後、自分の髪に触れる。日和はいつもポニーテールをしている。明るい彼女によく似合う髪型だ。髪を結んでいるのは、日和のお気に入りの黄色のリボン。彼女はそれを取り、俺の手首に結ぶ。

「私、類くんのことをちゃんと見守ってるからね。これはその証。類くん、笑って?あなたの笑顔が一番好きだから」

「白」一色の世界がゆっくりと回り始める。もうお別れの時間なんだ。何者かに体が引っ張られ、日和と引き離されていく。言わなきゃ。後悔しないように。

「          」

最後に見えたのは、泣きながら笑う日和の顔。耳に聞こえたのは、電車のドアが閉まる音だった。
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