リセット〜君を救うために、何度でも〜
頬を伝う涙の感触で、俺は目を開ける。俺は泣きながら駅のホームに立っていた。そんな俺を、行き交う人たちはジロジロと見ている。俺は慌ててホームの隅に向かう。
急に動いても体は悲鳴を上げたりしない。手もシワ一つないものに戻っている。あの出来事が夢だと思えるほどだ。
「日和……」
俺の手には老婆から貰った腕時計ではなく、黄色のリボンがつけられている。今この瞬間も、きっと彼女に見守ってもらえているんだ。そう思うと、寂しくはない。愛する人はいつだって、心の片隅にいる。
「あいつの好きだったアイスクリーム屋、寄って帰るか」
日和のことは忘れないし、忘れたくない。だけど、俺は前を向いて生きる。
これが世界で一番好きな人との約束だから……。