彼氏へ。わたしの爪と皮膚はしおりにしないでください。
「久野、ひさの。久野サーン?」
「はいはいはい、なんですか。聞こえてますよ」
「聞こえてるなら返事してくださいよ」
「んー……あと3分」
「あと3分って長いんだけど。まてて1分」
「1分じゃ足んないから、ねえ、お願い」
「僕がお願いって言葉に弱いの知ってるくせにそういうこと言うの、ずるくない?」
「ずるくないよ。さっきまで、あんたの1時間ぶっ通しマシンガントーク聞いてたでしょ」
「うぐ、……そうかもしれないけど、さみしい。スマホ見てるのやだ」
「友達に返信したいから5分ちょうだいって言ったときに、いいよー、休憩ね、ってわらったのだれ?」
「……僕です」
「だよね。それで、まだ2分半しかたってないにも関わらず話しかけてきてるのは?」
「…………でもさあ、やっぱさみしいんだって」
「はい、あんたの負け」
こちら、付き合いはじめてもうすぐ1年がたとうとしている彼氏の星畑。
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