あたしは桜子- 売れないモデル-
事務所の手前の路地にきた。

「桜子、俺この角のカフェにいるからさ…。」


「うん、わかった。それでそんな分厚い本持ってきたのね。超うけるんだけど。笑。」


「なんだよー。俺だってさ、こうやってまめに勉強してんの。それよりさ、上手くやれよ。」


「うん、ありがとう。」


智也ったら、やっぱ優しい。桜子は、嬉しくなった。足早に事務所のある路地を入った。

智也はそれを見送った。俺がこんなに惚れてるの、お前はわかってるのかな…。桜子の長い髪が風になびいてキラキラ光っていた。


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