あたしは桜子- 売れないモデル-
カメラマンは、桜子に言う。


「ねえ、桜子。チャンスなんだから上手くやれよ。愛想よくね。」


それを聞いて、タケルは笑った。

桜子はカチンときて、タケルにまくし立てる。


「ちょっとー、何笑ってんの?超ムカつくんだけど、何様?」


でも、タケルは冷静だった。


「別に、何様でもないよ。仕事始めよう。」


桜子は、ますます頭にきたけど、どうにか抑えた。
なによこんな子、あたしの相手じゃないし。


一通り、ポーズやら衣装の感じやら、話して終わった。


「お疲れ様でした。じゃあ、また明日よろしくお願いします。」


そう言って、桜子は外へ出た。タケルも、続いてでる。


「ねえ、桜子さん。明日よろしくです。」


先手を切って、タケルが挨拶した。
桜子は、後を振り返る。


「あ、こちらこそよろしくね。」


「大きい仕事だからさ、仲良く行こうぜ。」


タケルが、桜子の顔を見ながら言う。この世界の子は、皆そうだ。あたしもだけど、他人の顔色を伺いながら話す。それが当たり前だし、そうしないと勝ち残れない。他人の気持ちを読めない子は、仕事できないの。
桜子も、にっこり笑って言う。


「そうよね。よろしく。がんばりましょね。」


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