あたしは桜子- 売れないモデル-
彼氏
バイトしながら、モデルの仕事…。
青山の駅の、細い路地を入ると、小さな白いビルがある。その2階に、モデル事務所があった。

桜子は、事務所のドアを開ける。


「おはようございます。」


「おはよう、桜子。今日はいい感じじゃない?」


マネージャーが上から下まで、舐めるようにあたしを見た。


「なんか、お仕事なーい?」


精一杯媚びた笑顔で、あたしは言う。


「うーん、ちょっと待って。」


マネージャーは、ファイルに目を通した。
マネージャーって言ったって、タレントじゃないからね、私一人に付いちゃくれない。モデルは、一人で仕事場にいくの。


「ああ、ランファンどう?ブランドの下着メーカーじゃないけど。」


下着ね…。どうしようかな…。どうせ又、チラシだわ。


「あ、やる。やります。」


気持ちとは裏腹に、大きい声で言った。


「あなた、ランファンなんて自信がないと出来ないの。こっちも人選んでるのよ。」


まいっか。何で売れるかわからないし…。
桜子は、地図の書かれた紙を貰う。

「明日、10時入りだから時間厳守でね。」


事務所の中には、スタジオがある。カメラのシャッター音が、聞こえていた。桜子は、少しドアの隙間から覗いた。色の白い、ハーフらしい男の子がポーズをとっていた。


「はー、綺麗。ハーフはいいな。」

桜子の後から、マネージャーが覗いた。


「あの子、いいでしょ?この間スカウトしたのよ。綺麗よね。」


桜子は、ため息をついて外へ出た。

昼間は暇。
バイトは居酒屋で夕方からだから。
でもお金ないし、家へ帰ろう。
桜子は、駅へ向かった。


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