あたしは桜子- 売れないモデル-
「ザッと説明するからね。」


多分ADだと思われる男が、話始める。


「ここは、森の中ね。君達は妖精だから。その池のほとりに一人、木の陰に一人いて。」

ADの説明によると、森の中に、妖精が2人遊んでる。そこへ、橘琴美がやってくる。アイスを食べ始めたら、妖精が近付いて覗く。そこで橘琴美がアップになり、ブルーアイスクリームは、おいしいと言う。


「わかった?そう言う事だから、後は指示通りに動いて。部屋へ戻っていいよ。」


リハは終わったが、橘琴美は来ない。


「ねえ、橘琴美って来てないよね。」


桜子は、タケルに言う。


「ああ、売れてるから忙しいんじゃない?きっと、直前にくるさ。」


そう言うとタケルは、妖精の衣装に着替えた。桜子も着替え始める。


「だいたいさ、男女同じ部屋ってひどくない?」


カーテン越しに桜子が言う。タケルは笑って答える。

「カーテンあるだけいいだろ?僕達は下っ端なんだから、当たり前さ。」


2人とも、すっかり妖精になったお互いの姿を見て笑った。


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