あたしは桜子- 売れないモデル-
「モデルさん達、食事して下さい。」


アシスタントが、お弁当を持って来た。

タケルは、お弁当を受け取ると言った。


「ああ、もう朝早いからさお腹空いてるし。もう食べようか。」


すかさずマネージャーが言う。


「当たり前じゃない。食べれる時に食べないと時間ないよ。それと、衣装に着替えたから座らないで、シワになる。」


桜子が言う。


「えー、立って食べろっていうの?」


「そんなの常識でしょ?」


マネージャーが、得意気に言う。

タケルは、笑った。

桜子は、ムっとしたが、お弁当を食べ始めた。


食べ終わると、セットの前に行く。

ADが言う。


「2人とも、セットに入ってスタンバイして。」


2人は、セットの中に入る。

タケルは、池のほとりに。桜子は、木の陰だった。


そのまま、ライティングのテストが始まる。


「はい、君達は妖精。橘琴美が真ん中にいると思って、はい寄ってー。はい、覗き込む!はい、OK!そのまま待って。」


2人は、言われた通り待った。橘琴美はまだ来ない。
どのくらい妖精のまま待ったろうか。やっと、橘琴美が現われた。

ディレクターが言う。


「琴美ちゃん、真ん中座ってね。アイスを食べたら、妖精が覗き込むから、そしたらにっこり笑ってブルーアイスクリームおいしいって言ってね。」


橘琴美は、ゆっくりと真ん中へ座る。私達を見るとにっこり笑った。
すごいな、やっぱオーラがあるの。

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