あたしは桜子- 売れないモデル-
レポーターは今売り出し中の男だった。


「さて皆さん、ここが今ドラマで人気の桜子さんの実家です。えー、ドラマでは金持ちのお嬢様役ですが、現実はですね、ふつーの女の子だったようです。」

「ちょっと、チャイムを押してみましょう。」


レポーターはかまわず玄関のチャイムを押す。
桜子は思わず叫んだ。

「やめて、やめてよ!どうして…」

桜子は、ケータイを開くと事務所に電話した。


「ねえ、今テレビ見て。大変だわ。なんとかして…。」


そう言うと涙が溢れてきた。


レポーターがチャイムを押すと、女の声で返事があった。そして、ドアが開く。母だった。桜子が出て行ってから4年の月日が経っていた。その間、一度も帰った事はなかった。


「あ、あの、桜子さんのお母様ですか?」


レポーターが慌てて聞いた。桜子の母は、派手な身なりの割にはクシャクシャの頭で爪には赤いネイルが見えた。
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