あたしは桜子- 売れないモデル-
社長とマネージャーは顔を見合わせた。なにより今は、事務所のスターとなった桜子の事を考えていた。


「取りあえず、だいたいの話はわかりました。それで桜子は、アメリカ人とのハーフだと言う事ですね。父親とは音信不通で…。それで子供が生まれたと言う事は、わかってるんでしょうか?」


社長が穏やかに訊いた。


「そうね、でも男の子か女の子かは知らないわよ。とにかく冷たいよね、それっきり連絡もなしでさ。そういう所はお前、そっくりさ。」


母親は桜子の顔を見ながら言った。
桜子は、目をそらした。


社長はやがて小切手をだして、母親に言った。


「とにかくお母さん、桜子は今が大事な時なんです。色々話したい事があるとは思いますが、私ども以外には話さないようにお願いします。それでと言っては何ですが、ひとつこれで内々に。」

社長は小切手に数字を書くと、母親に渡した。桜子は、小切手をみたが額面はわからなかった。


母親は、納得したのか小切手をしまうと帰っていった。

桜子は、社長に言う。


「いくら渡したの?きっとこれで済まないわよ。」


「まあ、社長に任せて。」

マネージャーが桜子をなだめた。


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