あたしは桜子- 売れないモデル-
桜子は、ドラマに集中した。色々な事を考えないように。


「桜子、最近どうしたんだい?」


タケルが台本片手に控え室へきた。

「どうって別に。何が言いたいの?」


「いや、なんだか変だもの、桜子。」


「そんな事ないよ。」


「ほら、いつもなら何よ!ってつっかかるのに。」


「うん。そうだね。」


タケルは、本気で心配しているみたいだった。桜子の顔を覗き込んだ。

「あのねタケル、あなたハーフでしょ?同じハーフの子見てわかる?」

「うーん、だいたい何となくね。同じ匂いがするってやつかな。笑。」

「じゃあ、あたしは?あたしはハーフに見える?」


桜子があまりまじめな顔をして聞くので、タケルはドキッとして目をそらした。


「桜子、何かあったね。ここじゃまずいよ、誰が聞いてるかわからないからな。後で連絡するよ。」


そう言うとタケルは、控え室を出て行った。
撮影は深夜まで続いた。


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