あたしは桜子- 売れないモデル-
「何よ、タケル…。」


タケルは、黙って桜子を見つめるとキスをした。

桜子は、体の力が抜けていくのを感じた。


「強がるのはよせよ。危なっかしくて見ちゃいられない。」


桜子はそのまま、タケルの目を見つめた。
何?この感じ…こんな気持ち…初めてだわ。

2人はしばらく抱き合っていた。


「桜子、僕は初めて会った時から好きだった。ドラマで共演する事になって嬉しかったよ。それも恋人役だったからびっくりさ。」


「タケル…。」


桜子は頬を紅潮させてうつむいた。
自分もタケルの事が好きだと、今、はっきりと自覚した。


「今日は撮影がないし、ゆっくりしよう。」


遅い朝食を食べると、2人はタケルのベッドルームへ入った。


「大丈夫、誰も来ないさ。」


タケルはそう言うと桜子をベッドに寝かせた。


「何も考えないで、今は僕のことだけ見て。」


2人はそのまま愛し合った。


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