あたしは桜子- 売れないモデル-
「上手くまいたかな?」


タケルは、辺りを見回すと桜子のマンションの駐車場へ入った。


「もう大丈夫よ。ここは住人だけしか入れないから。」


桜子は、安心して帽子とサングラスをはずした。


「タケル、色々ありがとう。今日は楽しかった。」


「うん、また会いたいよ。現場ではメールにしよう。笑。」


2人は車から降りると、見つめ合った。そしてキスをした。


「桜子、君が僕の腕の中にいるなんて、今だに信じられないよ。」


「タケル…私も…」


その時パアッと明るい光が差し、シャッター音がした。

2人は驚いて、光のほうを向いた。


「チッ、しまった。パパラッチだ。」


タケルは追いかけたが、逃げられた。
桜子は、呆然とした。


「住人だけしか入れないのに、何故?」


「その住人だよ。多分金を渡して入り込んだか、知り合いかなんかさ。」


「そんな…。」


「とにかく、僕に任せて。社長に相談して何とかするさ。桜子はもう部屋へ入って、ちゃんとロックするんだよ。」


「もう、また子供扱いして…大丈夫よ。」


タケルは、にっこりすると桜子を入口まで送った。


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