あたしは桜子- 売れないモデル-
翌朝、マネージャーは手早く朝食を作った。


「わあ!上手いですね。あたしはだめ。」


「桜子、お料理は慣れよ。笑。さあ、食べてお仕事お仕事。笑。」


2人で朝食を食べ、マネージャーの車でスタジオまで…。

「あたしマネージャーの事、誤解してたかな。」


「はは、そんな事言わなくていいわ。いろんな子見てきたからね。あえて優しくはしないのよ。」


「ふーん、そんなもんなんだ。」


控え室へ入るとタケルからメールがきた。


「おはよう桜子。今日も仕事頑張ろう」


もう、タケルってばハートなんかつけて。
桜子は、台本に目を通した。

その日は何事もなく撮影は順調にすみ、最後の夜となった。


「お疲れ様でした。」


皆が2人を拍手で労った。
2人は並んで花束を受け取ると、深々とお辞儀した。


「皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。」


タケルが挨拶すると桜子も続けてお辞儀をした。


「何だかドラマのアップじゃなくて、2人の結婚会見みたいだ。」


スタッフの誰かが言うと、その場は笑いにつつまれた。


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