あたしは桜子- 売れないモデル-
桜子は引っ越してから、初めて近くのお店へ入った。

そこはサンドイッチ屋で、手作りのサンドイッチはボリュームもあり、どれも美味しそうだった。店の中が喫茶になっていて、コーヒーも飲めるようになっていた。桜子は、サンドイッチを選ぶと、店の一番奥の席に座った。嬉しい。時間に終われる事もない自由。
桜子は自然に微笑んでいた。


「お客さん、なんか良い事あったんですか?」


カウンターごしに、お店の人が言った。


「いえ、このサンドイッチがあんまり美味しいから、嬉しくなったの。笑。」


「それは、良かった。僕もつくり甲斐があります。」

「え、これあなたが作ったの?」


桜子は、びっくりした。自分とそう年も違わない男の子が、こんなに美味しいサンドイッチつくるなんて。

「こんな綺麗な人に褒められたら、嬉しくなっちゃう。これ、サービスです。」


店の人は、コーヒーのおかわりをついでくれた。


「ありがとう。」

「今日は、他にお客さんもいないしね。内緒ですよ。笑。」




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