あたしは桜子- 売れないモデル-
桜子は、智也にメールした。


「智也~お仕事終わった系そっちはどう」


2、3分して返事が来る。


「こっちも終わった系ー。いつものところで」


駅前のまっくで、待ち合わせした。
智也はまだ、来てなかった。ポテトとウーロン茶だけたのむ。
だって、太るし。太ったモデルなんて、意味ないし。

桜子は、窓際の席に座って智也をまった。
不意に後から、智也の声がした。


「またポテトだけ食べてんの?昨日は、エクレア食べたくせに。」


智也は笑いながら、席に座る。


「あーん、もういいでしょ。余計なお世話。」


桜子は、ちょっとふくれて見せる。

「試験、どうだった?」


「ああ、ばっちり!山が当たったみたい。」


「ふーん、良かったじゃん。」


「あらら、どうしたの?仕事でなんかあった?」


智也は心配だったが、気取られまいとわざと明るく聞いた。


「あー、心配ないから…。ちょっといつもの落ち込み系だから…。」


桜子は、ため息をついた。


「そっか…、ならいい。」


智也が優しく言う。

桜子は、急に落ち込んで不機嫌になったりする。
愛のない家庭で育ったせいか、自分に対して否定的だったりする。
智也は、それを知っているからか、そういう時はいつもより優しい。



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