あたしは桜子- 売れないモデル-
風輝は、桜子を見つめてゆっくり話し始めた。


「この店は、父さんがやってたんです。でも、父さんがやれなくなって僕が後を継いだんです。もっとも、サンドイッチをメインにしたのは僕だけどね。」


「そうなんだ。お父さんはお店に出ないの?」


「あ、父さんはもう亡くなってしまったんだ。母さんは、僕が小さい頃に出て行ったんだ。森家は、僕一人だけになった。」

「ごめんなさい。あたしのほうこそ悪い事聞いて。」

「ううん、いいんだ。もう昔の事だからね。それより桜子さんは、まだ心の傷が癒えないみたいで心配だな。」

「え?あたし?あたしはもう大丈夫よ…。笑。」


「かなりマスコミに叩かれたでしょ?僕、毎日テレビ見てたから桜子さんの事はだいたい判る。でも、ここでは余計な事は聞かない。のんびりコーヒー飲んでたらいいよ。今まで忙しすぎたんだから。」


そんなに特別な事を言ってないのに、風輝の言葉は桜子の心に沁みた。


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