あたしは桜子- 売れないモデル-
桜子は、フォレスト物語の、カウンターの一番奥が指定席になった。

もう世間では、桜子とタケルの事が話題になる事もなくなった。
気持ちも落ち着いて、作詞やエッセイの仕事もぽつりぽつり入って来た。


「ねえ、今日はタンドリーチキンサンドとコーヒーね。」


桜子は指定席に座ると、PCを開いた。
風輝が聞いた。


「仕事、順調みたいだね。」


「うん、楽しいよ。締め切りはコワいけど。笑。」


風輝は、楽しそうに笑う桜子が眩しくて、目をそらした。


「ねえかず君、車の運転出来るでしょ?私ね、車の免許取るの。協力してほしいの。」


「ええ、良いですよ。喜んで。」


「じゃあ、さっそく今度のお休みにお願い。この間路上教習でちょっと失敗したから。笑。」


「ははは、僕は厳しいですよ。覚悟して。笑。」


「はい、よろしくお願いします。笑。」


桜子は毎日、心から笑えた。
それも風輝と出合えたから…。
かず君の笑顔に癒されてる。
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