あたしは桜子- 売れないモデル-
タケルは笑って、紹介した。


「あっちで随分助けてもらったんだ。」


その人は、にっこり笑ってお辞儀をした。


「日本語は全然できないから。笑。僕はもう行かなきゃ。桜子の彼氏に会いたかったな。」


「あたしの彼氏じゃないから。なんかね、お兄さんみたいな感じかな。笑。人を愛するのは勇気がいるもの。」


タケルは、顔を曇らせた。


「桜子…君はまだ心の傷が癒えないんだね。僕は支えてやれなかった。悪かったよ、後悔してる。」


「タケル、あたしはもう平気よ。向こうで幸せに暮らしてね。それがあたしの幸せに繋がるわ。タケルが笑っているかと思うと、あたしも嬉しいし。」

「桜子。」


その時、ドアが開く。風輝が帰って来た。


「桜子、ごめんよ。もう、終わっているかと思ったんだ。」


タケルが立ち上がった。


「始めまして。タケルです。」


「森風輝と言います。お話の途中にすみません。」


「いえ、良いんです。もう帰るところですから。最後にあなたに会えて良かったです。桜子をよろしくお願いします。幸せになるんだよ。困った時はいつでも力になるから。」


そう言うと、タケルは外へ出た。


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