あたしは桜子- 売れないモデル-
「桜子、いいのか…。」


「え?何…。」


「このまま行かして本当にいいのか!」


風輝はそう言うと、桜子の肩を押した。

桜子は、体の力が抜け動けなかった。


「かず君ありがとう。もういいの。終わったのよ。あたし達は、兄弟じゃなかったの。それを知らせようと一生懸命来てくれた。それだけで充分なんだ。タケルにはタケルの人生があるから。」


「桜子…。」


「今日はお休みなのに、ごめんね。あたし、帰るわ。」


「待てよ!おい待てったら。」


風輝は桜子を追って外へ出た。


「今のお前をこのまま帰せない。まるで魂のない人形みたいだ。」


「かず君…。あたしさ、今までずっと苦しくて…罪深い人間だと自分を恥じていたの。でも、 あたしは何も悪い事してないよね。」


桜子は、風輝の胸に顔を埋め肩を震わせて泣いた。


「桜子…君は一人じゃないよ。僕がいる。」


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