あたしは桜子- 売れないモデル-
「このままここにいろ。」

風輝は、桜子を連れて店に戻った。

「今夜は帰るな。あんなだだっ広い部屋に一人でいたら、お前どうにかなっちゃうよ。」

「あたし…。何だか疲れた。」


風輝は桜子を、店の二階へ連れて行った。
6畳の畳の部屋が二つと、あとは小さなキッチンと、ユニットバスが着いていた。


「さあ、ゆっくりして。」


桜子は、あたりを見回す。

「かず君はここで育ったの?」


「ああ、父さんと2人でね。母さんが出て行ってから、父さんは一人で一生懸命育ててくれた。小さい時は寂しくて、ほとんど店にいて父さんについて歩いた。笑。」


「お母さんに会いたい?」


「別に、もう何処にいるかもわからないしね。」


「そうなんだ。」

「桜子こそ、ずっと母さんに会ってないんだろ?」


「あたしの事はいいの!ほっといて。関係ないでしょ。あの人の事は言わないで!」


桜子はそう言うと、涙が頬を伝う。
風輝は、桜子を抱き締めた。

「ごめんな。思いださせて。いいよ、思いきり泣いても。」


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