あたしは桜子－ 売れないモデル－
「かず君の…お母さんの話…。」


店に残った桜子は、ぼんやりと記憶の糸をたぐりよせた。
あれは…確かタケルの家で会った…。
タケルのお母さん…？まさか…。
桜子は二階へいって、アルバムを開いた。記憶の糸がつながる…。
タケルのお母さんだわ。
風輝を抱いて、にっこりと微笑んでいる。あのタケルのお母さんと、風輝のお母さんが同じ人？


桜子は、風輝を待った。

風輝は、憔悴した顔で帰って来た。桜子は、どうやって声をかけていいかわからなかった。

「かず君…。」


「心配かけてごめん。」


そう言ったきり、カウンターの中で仕事を始めた。
桜子は、心配そうに見る。
しばらくして、風輝は口を開いた。

「桜子、店が終わったら話がある。君にも、話しておかなくちゃ。あいつはもう来ないさ、安心して。」


そう言われて、桜子は頷いた。
でも、本当にもう来ないのかしら…。不安…。


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