クールな幼なじみが本気になったら
虚ろな目をして、苦しそうに息をするりっくん。


おでこに手をやると…。


「すごい熱…」


力なくわたしにもたれかかるりっくんに、わたしは戸惑うばかり。


「しずく、あたしが先生呼んでくるから…!」


なにもできないわたしの代わりに、芽依が先生を呼びにいってくれた。


そして、りっくんは先生に抱えられながら、別室へと移されたのだった。


そんなりっくんの様子を遠目に見守る。


「…りっくん、大丈夫かな」


全然食事に手をつけないと思っていた。


『…ああ、うん。あまりにもしずくがおいしそうな顔して食べるものだから、ずっと見ていたかっただけ』


りっくんはああ言っていたけど、本当は体調が悪くて食欲がなかっただけなんだ。


わたしは木の下で雨宿りしていて、あまり濡れることはなかったけど、りっくんはあの土砂降りの雨の中、わたしを探していて…。
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