クールな幼なじみが本気になったら
自分の至らなさを考えたら、急に目の奥がじわりと熱くなる。

それが涙となって、下を向いているせいで零れそうになる。


自然と震える肩。


その肩に、体を起こしたりっくんがそっと手を置いた。


「『幼なじみ失格』だって?」


わたしはうつむいたまま頷く。


「なに言ってんだよ。しずくは、『幼なじみ』じゃねぇよ」

「…え?」


わたしがキョトンとして顔を上げると、りっくんは優しく微笑んだ。


「しずくは、俺の『彼女』だろ」


りっくんは、わたしの頬に熱い手のひらを添える。


「熱出した俺の看病をしてくれてる。それだけで、彼女として十分すぎるくらいじゃんっ」

「りっくん…」

「…って、勝手に『彼女』って言っちゃったけど。…いいよな?そういうことで」


芽依とは和解した。

妨げるものは、もうなにもない。
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