クールな幼なじみが本気になったら
「うん…」


わたしは、ゆっくりと目をつむった。


前は見えないけど、ゆっくりとりっくんの顔が近づいてくるのがわかる。

そして、りっくんの吐息が鼻にかかる。


胸の高鳴りがピークに達する。


わたし、りっくんとキス…するんだ。


そう思っていた…そのとき!



「遠野〜!体調はどうだ〜?」


静まり返っていた部屋に、先生の声が響く。


驚いたわたしたちはハッとして目を開け、一瞬にして距離を取った。


「おやっ?花岡、まだついていてくれてたのか?」


部屋に、りっくんのクラスの担任の先生が入ってくる。


わたしはそばで正座をしていて、りっくんは布団にくるまって寝たフリをしていた。


「花岡。もう9時過ぎてるから、そろそろ部屋に戻りなさい」

「は…はい。でも…」

「心配なのはわかるが、先生たちも夜中に見回りにくるから大丈夫だ」
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