クールな幼なじみが本気になったら
今のわたしには、あの1回で精一杯。


「だから、もうこれで十分――」

「ダーメ。昨日はお預けくらったから、今日はむちゃくちゃに愛したい」


すり抜けようとしたわたしを逃すまいと、りっくんがギュッと抱きしめる。


「ダメだよ、りっくん…!」


そう言って抵抗してみるも、りっくんの力には勝てっこない。


「俺のこと、クールな幼なじみだと思わないことだな」

「…え?どうして?」

「だって俺、クールでもなんでもないよ?しずく目の前にしたら、こんなに好きすぎてたまらなくなるからっ」


確かに、こんなにオオカミのように迫ってくるりっくんは見たことがない。

だけど、これが本当のりっくんなのかもしれない。


クールなりっくんは、モデルとしての律希。

でも、わたしのことを愛しく求めてくるりっくんは、わたししか知らないりっくんの姿。
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