クールな幼なじみが本気になったら
りっくんがわたしの肩に手を添える。


「りっくんは、もう寝て?明日、お昼から撮影があるんでしょ…?」

「ああ。でも…」


そう小さく呟いたりっくんが、わたしの前髪を優しくかき上げる。


「怖がって震えてるしずくがそばにいるのに、放っておけるわけないだろ」


暗闇に慣れた目が、りっくんの表情を捉える。

りっくんは、愛おしそうにわたしを見つめていた。


「さっき、『なにもしない』って言ったけど…。こんなしずく見たら、なにもしないなんてことできない」


そう言って、上体を起こしたりっくんが、わたしが横になるベッドのふちに足をかける。



「今日だけは、こうさせて」


首筋に伝わるりっくんの吐息。

熱いくらいに背中に感じるりっくんの体温。


なんとりっくんは、震えるわたしを包み込むように、後ろから抱きしめてくれた。
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