クールな幼なじみが本気になったら
戸惑いながらりっくんを見上げると、りっくんは勝ち誇ったかのように微笑んでいるだけだった。


「…もう勝手にしてください!花岡先輩なんて、好きでもなんでもありせんからーー…!!」


涙声混じりでそう叫ぶと、ユウヤくんは涙を拭って屋上から出ていった。



…一瞬の出来事だった。


あんなに別れたくないとダダをこねていたユウヤくんが、りっくんの登場であっさりと別れてくれるなんて…。

でも、わたしとりっくんが付き合っていると勘違いさせて泣かせてしまったのは、少し申し訳ないような気もするけど。



――ひとまず。


「ありがとう、りっくん。助けに入ってくれて」


りっくんがこなかったら、きっとまたユウヤくんの押しに負けていただろう。


「でも、どうしてりっくんがここへ?屋上に用事でもあったの?」
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