クールな幼なじみが本気になったら
芽依を裏切ることになる。


芽依の悲しむ顔が、頭に浮かぶ。


新しいクラスで、なかなか自分から声をかけられなかったわたしに、真っ先に声をかけてくれた芽依。

そんな芽依に、どれだけ気持ちが救われたことか。


だから、もしりっくんに気持ちを伝えるなら…。

ちゃんと芽依にわかってもらってからがいい。



「…ごめん、りっくん。今は……言えない」


わたしは、喉まで出かかっていた『好き』という言葉を飲み込んだ。


わたしの返事を聞いて、りっくんが切なげに眉を下げる。


「もしかして…、篠田さんのこと?」


りっくんはちゃんとわかってくれていた。

その問いに、わたしはコクンと頷く。


「…そうだよな。しずくが親友を裏切るみたいなこと、できるわけねぇよな。だって、それがしずくなんだから」
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