クールな幼なじみが本気になったら
りっくんに伝えることができなくて、わたしは唇をキュッと噛む。

そんなわたしの頭の上に、りっくんはポンッと手を置いた。


「ごめんな、しずく。困らせるようなことして」


わたしは、『ううん』と首を横に振る。


「しずくにそんな顔させるなんて、俺…ダメなヤツだな」

「…そんなことないよ!」


りっくんは、なにも悪くないんだから。


「じゃあ、聞いてもいい?」


りっくんはそう言うと、腰を低くしてわたしと視線を合わせた。


「言葉にできないなら、合図して?」


…合図?


「俺のこと、きらい?」


首を傾げるりっくん。


わたしがりっくんのことをきらいだなんてありえないんだから、首を全力で横に振った。


「そっか、よかった」


りっくんは、安心したように微笑む。


「じゃあ、しずくは俺のこと…好き?」
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