クールな幼なじみが本気になったら
『好き』


その言葉に、また胸がキュンとなった。


好きだよ。

声に出して言いたい。


だけど、今はそれができないから…。


『言葉にできないなら、合図して?』


わたしは、ゆっくりと首を縦に振った。


好きだよ、りっくん。

いつか、絶対そう伝えたい。


「今は、それだけで十分だよ。ありがとう、しずく」


りっくんはわたしの手を取ると、指を絡めてギュッと繋いだ。


りっくんの優しさに、涙がぽろっと溢れる。


「なにも、泣くことはないだろ?」


わたしの涙を指で払うと、りっくんは微笑んでくれた。

それを見て、わたしも思わず笑みがこぼれたのだった。
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