クールな幼なじみが本気になったら
芽依の口調から、明らかにイライラしているのは読み取れた。


そして、芽依は続ける。

体育祭後の帰り道、りっくんに送ってもらったあとの出来事を。



芽依はあの日、りっくんにパン屋さんまで送ってもらった。


りっくんと2人きりになれて喜んでいた芽依と違って、りっくんはどこか上の空。

芽依をパン屋さんまで送り届けるなり、慌ててもときた道を引き返して行ったんだそう。


その行動が気になって、りっくんのあとをつけてみたら――。


わたしといっしょにいる現場を目撃したのだ。


あの場にはだれもいないと思っていたけど、実は隠れていた芽依に聞かれていたのだ。


『俺はべつに、篠田さんといっしょにいたいんじゃない。俺がいっしょにいたい相手は、しずくだってわからない?』
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