ストーカー幼馴染は彼氏にはなりません!(多分)
『ちょっと…考えさせて…クダサイ…』
……負けた。
わかってた。自分の気持ちはもう。
この頃には晴人を男性として好きだったし
晴人が遊んでいたことを知った時のショックも
他の女の子達と違う特別な扱いに対しての優越感も
好きだからこそ感じたものだということも。
だけどもしこの告白を受けてしまったらもう昔のように仲のいい幼馴染ではいられない
もし別れることがあったりしたら
私は恋人と幼馴染を同時に失うことになる。
大事すぎて怖い。
大切過ぎて手放せない。
ぐるぐると悩む私を見た晴人は
『わかった。
明日の放課後答えを聞かせて』
そう言って微笑んだ
〈もう、逃げられないぞ〉と言わんばかりの微笑みで。
晴人は繋いだ手を離すことなく、そのまま家まで送ってくれた
きっと晴人も分かっていたんだと思う。
答えが決まっていたことも
…即決する勇気がなかったことも。
そして私は次の日の放課後までひたすら悩みに悩んだ
答えをどうするか悩んだわけではなく
どう切り出したらいいのかとか
この先どうしたらいいのかとか
付き合うって何したらいいのかとか
そして何より、めちゃくちゃ緊張していた。
正直、入試の時の面接より緊張していた。
そんな私を他所に、晴人は放課後私の学校まで迎えに来てくれ、一緒に帰宅した。
私の家に到着し
『じゃあね』
と手を振り去ろうとする晴人。
え!答えは!?
『ちょ!晴人!』
晴人は待ってましたと言わんばかりの顔。
『あの、その…。
晴人と付き合いたい…です。』
語尾が段々小さくなり、俯く私。
『嬉しい!』
そんな私を晴人は抱きしめた
その日から私達は付き合うことになった
やることはあまり変わらない
というか前がおかしかったのかもしれない。
毎日会って、デートして…。
付き合って半年ほど経った頃
『明日雨らしいね』
晴人からのメッセージ。
せっかくの休日。
遊園地に行く予定だった。
『遊園地は無理そうだね〜。』
『明日どうしようか?』
『じゃあ明日晴人の家行っていい?』
雨の日に外で遊ぶのは気が進まないし。
…あれ、既読ついてるのに返信が来ない。
プルルルルル
と思っていたら晴人からの着信
『もしもし?どうしたの?』
『…あれ、本気?』
『あれ?ってなんの事?』
『俺の部屋に来るって』
『え、うん…。』
そういえば付き合ってから1度も晴人の部屋に行ってなかったっけ
『その意味、わかってる?』
『…?意味…?』
『付き合ってる彼女が、彼氏の部屋に来るってこと。』
『…!?わ、わかってなかったかもだけど…///』
はぁとため息が電話越しに聞こえた
『俺も男だし我慢できなくなるから。来るなら覚悟して。』
『わ、わかった…。じゃあまた明日…?』
『え、香奈ちゃ…(ブチッ)』