ストーカー幼馴染は彼氏にはなりません!(多分)

晴人の思い



それから晴人と会うことはあまり無かった。

どうしても会わないといけない会議があったりしたから渋々会うことはあったけれど

陽菜と廉が間に座っていたりしたので
2人で直接話すことはなかった。


あれからもうだいぶ時間も経っているし

怒っている訳では無い。

ただ、また会って話して、あの頃の気持ちが再熱するのが怖いのだ。

もうこれ以上失うのが怖い。

晴人と付き合って以来、保守的になった私は出会いはあれど、誰とも付き合うことはなかった。

ーーーーーーーー………………


「あ!そういえばさ」

昔のこと思い出しながらぼーっとしている私に廉が話を切り出す。

「A&Gからコラボの依頼があったんだよね」

A&Gとはとても有名な動画配信者。

コラボ依頼をほぼ受けず、動画配信者の集まりにも参加しないと有名で、知られていることといえば、男女二人のグループだということだけ。まさか依頼をされることになるなんて夢にも思っていなかった

「すごいじゃん!」

素直に感動する私。

それに引き換え、曇った表情の廉と陽菜。

「新曲を作って欲しいんだって。期日は2ヶ月」


2ヶ月か…。


「まぁ、頑張ればなんとかなる…かな?」


A&Gは歌い手の中でもかなり有名なので、視聴者層も厚い。

そんな人達からの話、絶対無駄にするわけにいかない。

廉と陽菜は私と違って動画配信で生活を担っているんだし。


「期日はともかく…。今の状態でまた新曲ってなると、晴人との接触が増えるだろうし。香奈は大丈夫?」


そうか。あの曇った表情は私を心配しての事だったようだ。

「もう昔の話だし大丈夫だよ。それに、こんなチャンス逃したらもったいないと思っているから相談したんでしょ?」


私がそう言うと、まぁ…と濁らす廉

「でも、香奈が嫌なら無理しなくてもいいと思うの!」

陽菜はそう言ってくれてるけれど


「電話はいつもの事だし大丈夫。無理してないよ。それに、いつも通り廉が間に入ってくれるんでしょ?」


そう答えると、表情が明るくなる2人。

「もちろん!いつも通り仲介するよ!」


むしろ私のわがままで今こうなってるんだし

これ以上2人に迷惑かけられない。


私はA&Gとのコラボの話を詳しく聞くことにした。


A&Gと廉達で新曲を披露するというもの。

A&Gの女性パート担当してる方と陽菜でその曲を歌い

その後、違う曲をA&Gの男性パート担当してる方と廉が歌うそうだ。


新曲は恋愛ソングで10代から20代の人達に共感してもらえる女性目線の歌がいいそうだ。

恋愛ソング…かぁ。

恋愛ソングはあまり書かない。

漫画や小説で気分が上がってる時には書けるけれど、

いざ書こう!と思って書くことが出来ないのだ。

…恋愛の感覚が思い出せないから。

想像はつくけど、共感はできない…。



…まぁでもなんとかするしかない。

私は家に帰って小説や漫画を読み漁った。



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