ストーカー幼馴染は彼氏にはなりません!(多分)
次の日、仕事を終えた私はクタクタになりながら自宅へと向かった。
自宅マンションが見えてきた。
やっと家だ…。
……?
「誰だろう。」
マンションの前に人影が。
しかもじっと私を見てくる。
オートロックのマンションなので鍵を忘れて入れない住民かも。と挨拶をして通り過ぎようとした瞬間
「こんばん……!?」
2度見した。
今まで1度も家に来たことがない晴人がいたからだ。
「……え!?」
驚きすぎた私は大きな声で反応してしまい、慌てて口を塞いだ。
晴人は少し気まずそうな顔をしてこちらを見ていた。
「…久しぶり」
昔と全く変わらない晴人の優しい声。
「…久しぶり」
昨日思い出した感情と目の前の晴人とで混乱した頭の中。
何かを考える余裕もなく、普通に返答した。
「え、なんでここに?」
なんで知ってるの?とはあえて聞かない。
晴人だし。
知っているであろう私の自宅に今まで来なかった晴人が初めて姿を現した。
「…えっと、」
言葉に詰まる晴人。
「…なにかあった?」
わざわざ家に来るくらいのことがあったのかもしれない。
そう思った私は晴人に違う質問を投げかけた。
晴人は俯いて黙ってしまった。
色々あったとはいえ、弟のように可愛がっていたこともあった晴人。
目の前で俯いて落ち込んでいるようにも見える彼を放置はできない。
「とりあえず、どこかで話そうか…?」
そう聞くと俯きながら頷く晴人。
近くのファミレスに向かって歩いた。
晴人は私の少し後ろをとぼとぼと歩いていた。
…本当に何かあったのかな
彼の様子を見続けて、不安が大きくなっていった。
もしかしたら、病気になったとか
そういう話かもしれないと、内心ビクビクしていた。