ストーカー幼馴染は彼氏にはなりません!(多分)
私が切り返すと、言いにくそうに口を開く廉。
「いや…。俺なんだよね。晴人に電話番号教えたの」
……え。
「……それはなにか考えがあって?」
まさかの言葉に驚きが隠せない私。
「考えというか…。泣いてる晴人に同情したというか。ずっと片想いしてたの知ってたし。不器用なりに頑張ってたのも知ってたから。」
色々聞きたいことはあるけれど…。
「泣いてた?晴人が?いつ?」
1番気になるのはそこ。
昔は確かに泣き虫だったけれど、高校の時に泣くところなんて見た事ない。
「お前と別れてすぐ。別れてからしばらくあいつ引きこもってたんだよ」
驚きの事実を突きつけられて言葉が出ない。
あの晴人が泣いてて、しかも引きこもって…?
「あいつ、香奈を傷つけたってすげぇ後悔してて。香奈を試すようなことした自分が許せないって家から出なくなったんだよ」
「しばらくしたら落ち着くかと思って放って置いたんだけど、半年も引き込もってるとさすがに心配になって晴人の家に行ったんだよ」
「そこで晴人と話して、『香奈を傷つけたのは晴人の自信のなさや弱さが原因なんだから、もっと自分に自信をつけて強くなれたら連絡先を教えてやる』って約束したんだ」
そもそもあいつ、香奈いないと生きてる意味無いって考えの人間だしなと笑う廉。
「勝手なことしてごめん。」
最後にそう言って頭を下げた廉。
兄といい、廉といい、みんな後出しが多すぎて…。
「電話番号は気にしてないからいいんだけど、晴人が自信ないって?どういうこと?」
あれだけイケメンでモテてたら自信ないわけないじゃない。
というと、
「まぁ、あんまり俺から言うのも良くないだろうから本人に聞いてみて」
と濁す廉。
そして、「あと、これ陽菜には絶対言わないでくれ」
とさっき謝った時よりも真剣に、なおかつ深く頭を下げる廉。
私への謝罪より陽菜に言わないで欲しいのお願いの方が真剣ってどういうことだ?と内心ツッコミつつも
陽菜が私と晴人を会わせたがらないのも知っていたし
ここで晴人を擁護する形になると廉も立場がないのだろう。
完全に尻に敷かれてるな。と半分呆れつつ
わかったよ。と返事をした。
と、同じタイミングで、