ストーカー幼馴染は彼氏にはなりません!(多分)
〈女の子を取っかえ引っえ遊んでる□□高校のイケメン〉
の噂だった
最初聞いた時は晴人の話なわけが無いと思っていた
確かにイケメンだけど、晴人は愛想がいい方ではないし、遊べる程器用でもないと思っていたから。
でもその噂はあちこちから聞こえるようになり、ついに写真まで出回った。
晴人単体の写真から、複数の女の子とホテルに入る写真まで。
正直、晴人が遊んでいることには驚いたしショックはあったけれど、
噂の人物は
〈冷たくて 無口で どんな女の子も1度会えば終わり 連絡先も教えてくれない〉
なんて晴人とは全くの別人のような人物だったからやはり写真があっても信じられなかった。
『他人の空似かな?』
と本気で思っていた。
晴人とよく会うようになってから時間が合う日は通学も一緒にするようになっていた。
というか、朝練がある日は早くに
朝練がない日はいつもの出発時間に
ほぼ毎日晴人が家の前で待っててくれていた。
最寄り駅まで一緒に行き、学校や部活終わりに駅で偶然会うことが増えた。
なんでスケジュール知ってるのかは不思議だけれど、そこは〈晴人だから〉で納得出来た。
会う時間が増えるのは素直に嬉しいし。
ある日、部活帰りに晴人を見かけた。
『また今日も待っててくれたんだな』
なんて思い声をかけた時
私の声を遮るように可愛らしい声が彼の名前を呼んだ
駆け寄ってきた女の子に、晴人は今まで見た事もない冷たい目を向けていた
『…お前。誰?』
聞いたことのない低い声
見たことのない冷たい態度
あの噂は本当だったのだと、悲しくなった。
『やだァ。忘れちゃった?去年二人でイイコトした仲じゃん♡』
それにめげずに話しかける女の子。
…強い。。
『消えろ。お前らに興味ない……あ。』
冷たく言い放つ晴人と目が合ってしまった
『香奈ちゃん!』
私も、女の子もびっくりするくらいの声の変わりよう。
『え…は、晴人?』
私が戸惑いつつも名前を呼ぶと
『んー?なぁに?』
いつもの優しい声で答えてくれた
…え、怖。
『あの人、いいの?知ってる人じゃないの?』
私がそう言うとニコニコしながら
『知らない人だよ!行こう!』
そう言って私の手を引いて歩き出した
え、いいの?なんて戸惑いつつも
私にはいつもの優しい晴人なのだと嬉しくなった。
あの態度の豹変具合は少し怖かったけど。
それからまたしばらく経ち、晴人の噂も効かなくなってきた頃。
晴人の誕生日が近づいていた。
『今年は何が欲しい?』
毎年誕生日はリクエスト制だ。
『去年お祝いできなかったから今年は盛大にお祝いするよ!』
『うーん。じゃあ指輪を…』
…なんか歯切れ悪いな
『指輪かぁ。どんなのがいい?当日一緒に選ぶ?』
『…!!うん!一緒に選ぼう。デートしよう!』
『よし!じゃあ決まりね!夕飯のお店はわたしが予約するから!』
そうして晴人の誕生日の予定は決まった。
私は晴人が好きそうなお店を予約した。