白馬の王子と風の歌 〜幼馴染は天才騎手〜
3 + Side of Fuuka +
小さい頃からハルマが馬と一緒にいる姿を見ているのがすきだった。
彼のことばかり見ていたから、ふだんから馬たちと信頼関係を築くために生半可ではない努力をしていたことも知っていた。馬術選手のショーマお兄ちゃんも弟の馬への愛着は過剰だと呆れながら見ていたものだ。
早朝の餌やりや毎日の乗り運動をこなすハルマのことを馬事公苑の厩舎の馬たちは認めているみたいだった。乗馬クラブでもハルマは誰よりも速く馬を走らせていたし、その風になる姿は誰よりもカッコよかった。
馬とともに過ごす幼馴染みとして、また友人としての関係は自分にとって居心地のよいものだった。けれど、ハルマからしたらあたしはおまけみたいなものだったのかもしれない。速く走ることもできないくせに、いつも張り合ってくる可愛げのない女。
ハルマは男の子にしては小柄だったこともあって、あたしと一緒にいると姉と弟みたいだと言われることもあった。同学年なのに。
実際、さきに成長期が来たこともあって、小学校高学年の頃はあたしの方が背が高かった。馬に乗るには不利なんだぞとハルマに言われたときはてっきり負け惜しみをしているのかと思ったものだ。
けれどもそれは事実だった。クイーンシュバルツはあたしの身体の成長についていけず、バランスを崩してしまったのだから。