弁護士は逃げる婚約者を離したくない
場所を『Water Lily』に変更して、待つこと1時間。

「お待たせ」

南川宇大がやってきた。

「お疲れ様でした」

彼は私の向かい側の椅子に腰を下ろすと、
「ほして、話って何どすか?」
と、聞いてきた。

「婚約破棄をしてください!」

よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、私は言った。

「…はい?」

彼は訳がわからないと言う様子で首を傾げた。

「あなたと婚約破棄をしたいと言っているんです」

「ちょい待って、婚約破棄って何どすか?

言うてる意味がようわからへんねんけど」

「南川さん」

「はい」

私は彼の顔をじっと見つめると、
「あなた、おつきあいをしている人がいますよね?」
と、聞いた。

「えっ…つきあっとる人なんて…」

何でそれを知っているんだと、彼は言いたそうだ。
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