弁護士は逃げる婚約者を離したくない
「手ェ繋いだこともなかったら、酔うた勢いでうっかり…なんて言うことにもなったことあらへん」

「…それは聞いてないです」

続けて言った宇大に私は言い返した。

何じゃい、酔うた勢いでって。

「蜜柑ちゃんとはあくまでも友達や」

もう1度、私に言い聞かせるように宇大は言った。

「それじゃあ、南川さんにつきあっている人はいないんですね?」

そう言った私に、
「“宇大”でええ」

宇大は言った。

「宇大さんにつきあっている人はいないんですね?」

名前のところを言い直して聞いた私に、
「当たり前や」
と、宇大は答えた。

何だ、つきあっていなかったのか。

美男美女だし、とても仲がいいからつきあっているんだと思ってた。
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