弁護士は逃げる婚約者を離したくない
「恵麻ちゃん」

宇大が私の名前を呼んだかと思ったら、私の手を握ってきた。

やっぱり再放送だ!

青灰色の瞳に見つめられて私の心臓がドキドキと激しく鳴り出した。

「って、待ってくださいな!」

私の手を握っている華奢な手を振り払うと、私は宇大を見つめ返した。

「いきなり、そんな…愛し愛される関係になろうなんて言われても困ります!」

「ほな、僕はどないしたらええの?」

ど、どないしたらええって…。

「もう少し段階を踏んだ方がいいと言うか、その…」

ダメだ、自分で言っておいてあれだけど全然わからない…。

「例えば…その…」

「うん」

急かすように続きをうながしてくる宇大に、私は頭をフル回転させる。
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